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わたしのファミリービジネス物語

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地元に根ざして、自らの力を磨くファミリービジネスの経営者や後継者、起業家の方々を紹介していきます。波瀾(はらん)万丈の物語には、困難を乗り越える多くのヒントが詰まっています。
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#製造業

奥三河の下請けプラスチック会社が「デザイン×ものづくり」の会社になるまで

愛知県新城市の「本多プラス」の本多孝充社長は、父親から引き継いだプラスチック成形会社を、「デザイン×ものづくり」の会社へと変貌させました。アートという「自分の好きなこと」を軸に会社を作り替え、コスメペン「ハイテックC リッシュ」や携帯用「アジパンダ」のようなデザイン性の高い製品で、下請けの多いプラスチック業界に新風を巻き起こしてきた本多さん。「きれいなものをつくりたい」。そんな思いに突き動かされるアートな経営者の歩みを追いかけます。 「でかい仕事をしろ」。伯父がくれた一生に

チームワークで進むサーバント型経営者の道。歯ブラシメーカー・ファイン清水直子さん夫妻のトークイベントを開催します

自分はどんなタイプの経営者になるべきだろうか。経営者としての「あり方」を考えたい。チームの力を引き出す経営手法とは。そうしたことを感じている方々にお薦めのオンラインイベントを開催します。 ファミリービジネスの経営者や後継ぎの方々から、これまでの経験や経営の勘どころを聞くトークイベント「リファラバさんと話そう」。9月30日(金)にお招きするのは、ユニークな歯ブラシや介護用品を製造販売しているファイン(東京都品川区)社長の清水直子さんと、清水さんの夫でファインのデザイナー、曲尾

「のびのびと健やかなリーダーに」夫と歩む二人三脚経営【第三話】

歯ブラシなど口腔(こうくう)ケア製品を中心に、ユニークな商品を世に送り出す東京都品川区の「ファイン」を経営する清水直子さん。長く続いた迷いの時期を抜け出し、「のびのびと健やかな社長」という自分だけのスタイルを築きます。そして生涯のパートナーに出会い、今度は次世代に会社を引き継ごうとしています。 「会社の愛し方」が分からなくて苦しんだ取締役としての約10年間。「笑顔が仕事」と割り切ったことで、むしろ会社の隅々にまで目が届くようになった副社長の4年間。 そうした経験を経て、2

「会社の愛し方が分からない」トンネルの先に見えた光【第二話】

歯ブラシなど口腔(こうくう)ケア製品を中心に、ユニークな商品を世に送り出す東京都品川区の「ファイン」。父が亡くなり、社長となった母とともに会社を経営することになった清水直子さんでしたが、不安と焦りが先に立ち、やることなすこと、うまくいきません。「会社の愛し方が分からない」。そんな泥沼から、はい出すまでの物語です。 「ちゃんとしないと会社は3年で潰れるぞ」。1995年、父益男さんの葬儀で、参列者にかけられた言葉が胸に突き刺さった。親切心だったのだろうが、葬儀に政界関係者を一人

会社を継ぐのは「三女の私」? 父の死とめぐる運命【第一話】

竹からできた生分解性樹脂の歯ブラシに、幼児やお年寄りでも使いやすいユニバーサルデザインのコップ。ユニークな商品を世に送り出す東京都品川区の「ファイン」の清水直子社長は、何年も「自分は経営者になれるのかな」と悩みました。思ってもみない事態の積み重ねで自分に巡ってきた後継者という仕事。清水さんは壁をどう乗り越え、自分だけの経営スタイルをつかんだのでしょう。その歩みを追いかけます。 「はい、ファインでございます」。小学校の頃から、自宅に引かれた会社の電話を取るのが日課だった。