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新政・佐藤祐輔さん、而今・大西唯克さんに聞く「地酒の復興」~10月29、30日に「UTAGE」リアルイベントを開催

「地酒」の復興を期して、地元に根ざして日本酒や本格焼酎をつくる有名蔵元たちの団体が10月29、30日の両日、東京都江東区豊洲で、大型の野外イベントを開催する
飲食店で消費されることの多い地酒は新型コロナウイルス禍の打撃が特に大きかった。団体の役員で、「No.6(ナンバーシックス)」で知られる新政酒造(秋田市)社長の佐藤祐輔さんと、「而今(じこん)」の木屋正(きやしょう)酒造(三重県名張市)社長の大西唯克さんに、イベントにかける思いを聞いた。

コロナ禍で大きな打撃を受けた地酒業界

地酒は、それぞれの蔵が人生をかけて、体を張って手作りしています。大量生産品にはない手作りのすごさ、その大切さを伝える機会にしたい」
イベントを開催するのは、全国各地の50の蔵元でつくる一般社団法人J.S.P(ジャパン・サケ・ショウチュウ・プラットフォーム)。代表理事を務める佐藤さんは、新型コロナの感染が一段落したこの時期に開催することで、地酒復興の足がかりにしたいと考えている。

ファミリービジネスの形態が多く、比較的小規模な蔵元がつくる地酒は、スーパーやコンビニではなく、各地の専門的な酒屋を通じて流通され、小規模な飲食店で消費されるケースが多い。コロナ禍の打撃が特に大きかったのは飲食店であり、地酒もその影響を強く受けた

国税庁の統計によると、2021年度の日本酒(清酒)出荷量は40万キロリットルとなり、コロナ前(2019年度)から約12%の減少だった。

日本酒全体でみても相当な減少幅だが、スーパーで販売される大手メーカーの商品よりも、飲食店での消費が多い地酒の方が落ち込みが厳しい。佐藤さんは「蔵によっては壊滅的なダメージが出ている。コロナ前の7割か、それ以下になっているケースもあるだろう」と話す。

船橋陽馬(根子写真館)にて、新政酒造(秋田市)社長の佐藤祐輔さん
新政酒造(秋田市)社長の佐藤祐輔さん=船橋陽馬(根子写真館)撮影

感染が落ち着いたとしても、コロナ禍で起きた「家飲み」へのシフトなど、人々の行動がもとに戻るとは限らない。企業による接待や「2次会」需要の減少も指摘されている。

そこに、最近の原材料高が追い打ちをかけている。「お米を蒸したり、火入れをしたりする重油のコストが1・4倍になった。今後は原料米の値上げもあり得る」。木屋正酒造の大西さんも、製造コストの上昇を心配している。

木屋正酒造(三重県名張市)社長の大西唯克さん
木屋正酒造(三重県名張市)社長の大西唯克さん

円安による輸出増加への期待感もあるが、嗜好(しこう)品の色彩が強い地酒にどこまで追い風が吹くかは分からない。

地酒を生み出す風景や人々を伝える

こうした先の見えない状況の中で、J.S.Pは毎週、オンラインで蔵を見学したり、地酒の魅力を語り合ったりするオンライン番組「UTAGE(うたげ)」(https://utage.j-s-p.or.jp/をライブ配信してきた。

地元の美しい風景、蔵で働く人々の姿、それぞれの蔵と地酒の持つストーリーやこだわりを伝え、逆風の中でも親しみや愛着を感じてくれるファンづくりを地道に進めてきたのだ。

UTAGE(うたげ)
UTAGE(うたげ)のワンシーン

大西さんは「今までは酒造りに専念してきて、うまい酒をつくっていればそれで良かった。流通の方々が担ってくれていた『伝える』という仕事を、自分たちでやることは難しかったけれど、手応えも感じられた」と話す。

UTAGE(うたげ)のワンシーン

10月29日、30日に開催する野外イベントは、これまで50回以上にわたって続けてきた「UTAGE」の初めてのリアル版という位置づけになる。イベント当日は、全国各地の45の蔵元が集まり、自慢の酒をふるまう

野外イベントに参加する全国各地の45の蔵元

佐藤さんは「これまでオンラインでしか知らない蔵元たちと実際に会い、接点をつくる機会にできたらいい」と話す。大西さんも「大切に飲んでくれる日本酒・焼酎ファンのコミュニティーを耕していきたい」と意気込んでいる。

野外イベントの詳しい情報は、https://utage.j-s-p.or.jp/pages/lp2022からご覧ください。


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